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2019年7月7日日曜日

【三丁目の小説家】

【三丁目の小説家】

作:山寺の和尚

階段口で、母さんが買い物かごを下げて二階に向かって怒鳴っている。
「正雄!八百屋へ行ってくるから店番してて頂戴!・・・・聞こえているの?正雄!早く降りてきて!」
「さとしがいるんだろ。さとしに店番させなよ」
と二階から兄さんの声がする。
「何を言ってんのよ。さとしじゃ頼りないでしょ。早く降りてきて」
ちぇっ。頼りないだって。あんまりだ。この前まで、店番させてたくせに。勘定を二、三度間違えたからというもの店番を言いつけなくなった。僕だって、もう学校へ行っているんだ。店番ぐらいできらい。
「八百屋へ行く間くらいなら、客も来ないよ。さとしでも大丈夫さ」
「じゃあ、母さんが変わりに店番してるから代わりに八百屋へ行ってきてよ」
この勝負は兄さんの負けだな。ぶつぶつ言いながら降りてきた。
「ちぇっ。煙草屋なんかやめて本屋にでもすりゃ喜んで店番してやるのにな」
兄さんは、漫画の本をもって僕のいる居間の炬燵の中にもぐり込んできた。
ねえ。後でその本、見せてと僕が言ったら、
「だめだ。こんなものを子供のうちから読むと馬鹿になるぞ」
と言って見せてくれない。
馬鹿だってさ。
炬燵の中で寝ていた三毛猫がフラフラしながら出てきた。そして、バタリト僕の脇で倒れた。
体を触ると熱かった。
ねえ。この猫どうしたの。どこか体の具合でも悪いんじゃない?
と兄さんに尋ねたら、首だけちらっとこちらに向けて、また本の方に戻してつまらなさそうに言った。
「炬燵の中にいたからのぼせたんだろ。そんな馬鹿猫を相手にしてたら馬鹿になるぞ」
また、馬鹿になるんだって。この猫も子供の頃に漫画を読んだのかな。
「煙草下さい」
店の方で声がした。
兄さんは跳ね起きて店へ出た。どんな人が来たのかのかなと思って店の方を覗くと、お客さんは、ベレー帽をかぶった三十前後の男の人だった。どこかで見たことのある人だなあと思っていると、その人が桃山を三つ買ったので思い出した。
そうだ、そうだ。以前に僕が勘定を間違えた人だ。あの時、随分と母さんがぼやいたっけ。あの時の悪い人だ。
そして、兄さんが戻ってくると言った。
「お前、あの人知ってるか?」
僕が以前にあったことを話すと、兄さんは気が抜けたように言った。
「バーカ。あの人は小説家なんだぞ」
ショウセツカ?何?それ。オウム返しに聞くと、兄さんは、そばの本棚から本を一冊取り出して見せてくれた。
「こんな本を書いている人のことさ」
へえー。これはあの人が書いたの?小さい字がいっぱい書いてあるね。僕がページをめくってみていると、兄さんは、また漫画の本を取り上げて読み始めた。
何て名前?何処に住んでるの?と僕が尋ねると面倒くさそうに、
「うっるさいなあ。三文小説家のことなんか知らないよ」
サンモン?サンモンって何なの?
「サンモンというのはお寺の門のこと!」
お寺?あの人お寺に住んでるの?兄さんは本を読んでいて答えてくれなかった。


一ヶ月足らず過ぎて、小説家は、またやって来た。僕は、表で隣のタケちゃんと遊んでいた。小説家は、また桃山を三つ買った。
僕は、電柱の陰から様子をうかがっていた。すると、タケちゃんが不思議そうに尋ねた。
「どうしたんだい?何してんの?」
あの帽子をかぶった人、悪い人なんだ。前に、ウチの勘定を誤魔化そうとしたことがあるんだ。
と僕が言ったら、タケちゃんは、小説家が帰ろうとするのを見て言った。
「よし。後をつけよう」
タケちゃんがそう言った時、いい加減なことを言っちゃったと思ったけど、タケちゃんが、どんどん先に立って後ろをつけ始めたから、どうしようかと迷っている暇もなく、タケちゃんの後をついていった。
不安な気持ちもあったけど、電柱の後ろに身を隠したり、塀の角から首だけを出して、犯人の様子を窺ったりして尾行しているうちに、だんだん楽しくなってきた。
なんだか本当の探偵になったような気がしてきて、何としても犯人の隠れ家を突き止めて、逮捕しなくちゃいけないと思い始めてきたんだ。
「あっ。角を曲がったぞ」
タケちゃんは、小走りで道角まで行った。タケちゃんは、塀に張り付いたまま、顔をそっとのぞかせた。
「おい。犯人は誰かと話をしているぞ」
僕が、タケちゃんと場所を変わって覗いてみると、犯人は、買い物かごを下げた女の人と話をしていた。
しばらくして、女の人は、犯人と別れて歩き出したので、僕が飛び出していこうとしたら、班員は、急に振り返って女の人を呼び止めた。
見つかったらまずいと思って急いで引っ込もうとしたら、後ろから飛び出そうとしたタケちゃんと頭をぶつけてしまった。
「痛い!痛いじゃないか!どうしたんだよ」
タケちゃんは随分ぼやいた。
犯人が急に振り向いたんだからしようがないじゃないかと弁解したんだけど、タケちゃんは、僕が先頭に立つのはだめだ。ヘマをやるから駄目だと言って、後ろからついてくるようにと言い含めようとした。
でも、僕だって先頭に立って尾行したかったから、反論したんだけど、ヘマをやった者には、どうしても先頭に立たせてくれない。
僕とタケちゃんが言い争っていると、その脇を女の人が通った。買い物かごを下げている。あの女の人だ。犯人と話をしていた女の人だ。タケちゃんは、女の人に気づくと急に女の人に背を向けてしゃがみ込んで、地面に何やら書きながら、わけのわからないことをぶつぶつ言い始めた。僕はサッパリ訳が分からなかった。僕は、タケちゃんの横にしゃがみ込んで、どうしたの?と尋ねたけど、とんちんかんなことばかり言って、サッパリ訳が分からなかった。
女の人、僕たちの方を見て、にっこりと笑って通り過ぎて行った。僕は、もう一度、タケちゃんに尋ねた。
何を言ってんだい?一体、どうしたんだよ。
タケちゃんは、女の人が歩いて行った方を見てから、しばらくして立ち上がって言った。
「ばかだなあ。あの女の人は、犯人の仲間にに違いないんだぞ。尾行しているのが解っちゃうじゃないか。だから、さとしちゃんはだめなんだよ」
僕だって・・・。僕だって・・・。一生懸命やっているのに。何か言おうとしたけれど、タケちゃんは、もう犯人の方が気になるらしく、
「さあ。行こう」
と言って、さっさと先に立って犯人の後を尾行し始めた。僕は、仕方がないので後をついて行った。
「随分離れてしまったぞ。あっ、路地へ入ったぞ。よし、近道をしよう」
タケちゃんは、この辺りをよく知っているのか、生垣のある家の裏口を開けて、平気な顔をして入っていった。僕はびっくりして呼び止めた。
タケちゃん。ヨソの家に勝手に入ったりしたら怒られるよ。
「大丈夫さ。ここのおじいさんは、何も怒ったりしないよ。お菓子だってくれるくらい優しいんだから」
タケちゃんは、どんどん先へ進んでいった。僕は、辺りを見回しながら後をついて行った。
裏庭には、花や盆栽や背の低い木がたくさんあった。縁側でおじいさんが盆栽をいじっていた。おじいさんは、まだ僕たちに気が付いていないようだった。僕は、立ち止まってしばらくおじいさんの様子を眺めていた。タケちゃんは、平気な様子で、裏庭を通り過ぎて表の方へ出ようとしていた。
おじいさんが、タケちゃんに気がついた。じっと、タケちゃんの方を見ていた。タケちゃんは、おじいさんの方には目もくれずに急ぎ足で家の横を通って表の方へ行ってしまった。おじいさんは、また盆栽をいじり始めた。僕は、どうしようかと迷った。タケちゃんは、どんどん先に行ってしまうし。
僕は、思い切って通り過ぎることにした。ところが、少し歩いたところで、おじいさんが、顔をあげて、運の悪いことに僕の目とおじいさんの目がばっちりあってしまった。僕は、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった。すると、おじいさんは、にっこりと笑って、タケちゃんの後を追っていかないと遅れちゃうよとでも言っているような身振りをした。僕は、しばらくそのジェスチャーを眺めていた。やがて、タケちゃんが、僕が後からついて来ていないのに気がついて、
「何してんだよ。犯人に逃げられちゃうじゃないか」
門の陰から覗くと、犯人はかなり前を歩いていた。
「おっ、また路地へ入ったぞ」
犯人は、パン屋の横の路地へ入っていった。この路地を入ると道は二つに分かれている。入って右に曲がると、みどり荘。左へ曲がると、小学校の裏道へ出る。犯人は、右に曲がった。みどり荘だ。犯人の隠れ家は、みどり荘だ。タケちゃんも僕と同じことを言った。僕たちは、急いでみどり荘の見えるところまで走っていった。犯人は、みどり荘の二階に住んでいるらしい。階段を上って行く。僕が、どうしようかとタケちゃんに尋ねると、
「よし。やっつけよう」
とタケちゃんが言った。
やっつけるたって、どうするんだいと聞き返したら、
「これさ!」
と言って、ポケットからパチンコを取り出して、足元の小石を拾って狙いを定めた。
危ないからよしなよと言ったんだけど、タケちゃんは右手を力いっぱい引いた。小説家は、ちょうど家に入ろうとドアのノブに手をかけたところだった。僕が、もうやめときなよと言ったのも聞こえなかったのか、タケちゃんは、右手を離した。次の瞬間、小説家の目の前のドアのガラス窓が大きな音を立てて割れた。
「やった!逃げろ!」
僕が、振り向くとタケちゃんはもういなかった。僕は、ひどく慌てた。逃げようと思った。転んでしまった。そこを、「怪人一味」に捕まってしまった。転んだ時に擦りむいた手の傷の痛さと、捕まった悔しさに半分べそをかいてしまった。そんなこととは、お構いなしに僕は引きずられるようにして小説家のところへ連れていかれた。僕は、黙って突っ立っていた。そうしよう。どうしよう。えらいことになったぞと思っていると、小説家は、僕を引っ張ってきた人に何やら言いながら頭を下げていた。僕は、頭がジーンとしてきて、小説家が何を言っているのかわからなかった。
タケちゃん・・・ばか・・・。
小説家が何やら言った。何を言われたのかわからいまま僕は部屋へ入れられた。
「さあ、そんなところに立っていないで、炬燵に入って。寒いだろ」
その声は怒っていなかった。僕を座らせてから、割れたガラスの破片を片付け始めた。僕は、ぼんやりとその様子を眺めていた。鼻歌を歌いながら楽しそうに片づけていた。僕は、なんとなく気味が悪くなってきた。これから、僕は何をされるのだろう。ガラスを割られたのに、小説家は、楽しそうに・・・。何か恐ろしいことが起こるかもしれないぞ。小説家は、片づけ終わってから僕の向かい側に座った。
「さあてと。何か食べるかい」
あれ、おかしいぞ。怒鳴られると思ったんだけれど、当てが外れた。きっと、何か作戦を持っているんだな。こっちは、黙りの一手で行くんだから。
「名前は、なんていうんだい」
と小説家は、水屋をごそごそしながら聞いた。
僕は、黙っていた。
「確か、六方焼きがあったっけ」
ははん。エサで釣る気だな。そんな手に乗るもんか。でも・・・。六方焼き・・・。欲しいなあ。
「次郎っていうのかな。それとも賢次かな。さあ、食べて」
とお茶と六方焼きを差し出した。僕は、うつむいていた。
「遠慮しなくてもいいんだよ」
僕は、別に遠慮してるわけじゃなんだけどな。ただ、それを食べるということは、ガラスを割ったということを認めるような気がするからね。割ったのは僕じゃないんだから。でも、どうしてゴツンとこないのかなあ。ウチのガラス割ったら随分と叱られるのになあ。この小説家、ちっとも怒らない。変だなあ。
「六方焼き、嫌いかい?」
思わす頭を横に振りかけて、はっと、うつむいていた頭をあげると、小説家は笑っていた。
「はははは。本当は好きなんだろ」
その顔を見ていると、この人は、怒るっていうことを知らないんじゃないだろうかと思えるほどやさしい顔をしていた。その顔に、ひょっとするともう怒られないんじゃないかと思い始めた。
「遠慮しないで、食べていいよ」
と、また言ってくれた。六方焼き食べたかったし。意地、張ったって・・。恐る恐る手を出した。小説家は、にこにこして見ていた。僕が、六方焼きをつかもうとしたその時、ドアが開いた。
「どうしたの?ガラス」
と言いながら買い物籠を下げた女
の人が入ってきた。僕は、慌てて手を引っ込めた。女の人は、僕に気がついた。
「あら、お客さん」 あれ?この人、どこかで見たことがあるぞ。あっ、そうか。小説家と話をしていた人だ。小説家の奥さんかな。
「煙草屋さんの子供だよ。二丁目の」
あれ?僕のこと知ってるじゃないか。じゃあ、どうして、名前なんか聞いたのかなあ。
「そう。じゃあ、ガラス屋さんに電話してくるわ」
と女の人は、買い物籠を置いて出て行った。変だなあ。疑問はわかないのかなあ。どうして、煙草屋の息子がここにいるのかとか。ガラスはどうして割れているのかとか。不思議だなあ。知りたいと思うのが当然だと思うんだけどなあ。変なんだよ。まったく。
「ところで、名前、なんていうんだい」
また聞く。煙草屋の子だと知ってるんなら・・・。教えてもいいんだけど、しゃべるのが嫌で、黙っていた。
「何も言わないんだね。そうだ、将棋でもしようか」
僕がしなかったら、小説家は、少々不満そうだった。
「将棋、知らないの?じゃあ、トランプなら知ってるだろ?トランプしよう」
そこへ、奥さんが帰ってきた。
「明日の午前中に伺いますって」
「そうか。おい。トランプしよう」
「えっ?トランプ?ええ。しましょう。しましょう」
小説家も変なら、やっぱり奥さんも変だった。買い物籠もそのままで、夕食の用意もそっちのけで、トランプするなんて。
トランプする理由も聞かない。普通じゃないよ。この夫婦は。僕は、トランプをやってもいいのか不安だったけれど、
「ババ抜き、知ってるかい?」
と聞かれて、頷いてしまった。小説家は、満足そうだった。奥さんもトランプができるのが、うれしそうだった。僕だけが、場違いな気持ちだった。トランプなんかできる気分じゃなかった。
「左回りで行こう。さあ、取って」
と小説家は、奥さんの方にカードを差し出した。奥さんは、カードを睨み据えてウーンとうなって大きな動作で一枚抜いた。 「えへへ。一丁上がり」
とカード二枚をテーブルに捨てて、僕の方に向き直った。
「オニさんは、こーれだ。高い山のうーえだ」
と鬼ごっこの歌を歌うように言った。手のカードは、扇形に広げた上に段違いに一枚差し込んであった。
本当にやる気十分だね。けど、古いよ。この手は。兄さんに嫌というほどやられたことがあるんだから。気乗りもしないけど、一枚引いてやった。僕は、カードを見て驚いた。オニだった。声も出なかった。奥さんの顔を見ると平静な顔をしていた。僕は、悔しかった。負けてたまるか。きっと、このオニを小説家に引かせてやるぞ。僕にだって、策はあるんだぞ。
僕h、小説家の方にカードを差し出した。オニは、右端から二枚目に差し込んでおいた。小説家は、手を伸ばしてカードの右の方を探っている。オニに、触った。よし!しめた。引け!引け!オニを、引け!僕は、心の中で念じた。しかし、その手は、オニから離れて左端の方に移ってしまった。そして、左端の一枚を引いた。畜生!もう少しだったのに。小説家の手札が減った。今度こそ引かせてやるからな。
奥さんの手札も減った。僕の手札は、なぜか減らなかった。小説家の方にカードを差し出した。オニは、前のままにしておいた。さっきは、左端を引いたから、今度は右端を引くだろうと思ったんだ。ところが、また左端を引いた。おかしいぞ。よし、今度こそは。左端にオニをもっていこうかな。いや、待てよ。裏の裏をかいて・・。このままで行こう。カードを差し出した。また、左端を引いた。畜生!何度、左端にオニを持っていこうと思ったことか。でも、じっと我慢してたんだ。しかし、小説家は、左端ばかり引く。ひょっとしたら・・・。
ゲームの間中、小説家と奥さんは、声を出していた。僕だけが黙ってしていた。
「あと、五まーい」
奥さんが言った。
「ところで、オニはだれが持っているんだ」
僕は、ドキンとした。
「そういうあなたじゃないの」
僕は、今度も小説家が左端を引くかどうか確かめた。やっぱり・・・。ひょっとすると・・・。
「あと、三まーい」
奥さんが言った。僕は、オニを左端へ移してカードを差し出した。奥さんのカードは、僕が一枚引いたから、あと二枚だ。奥さんには、かなわないだろうけど小説家には・・・。
小説家の手が、オニに触った。引け!引け!オニを引け!オニのカードが引かれた。
「わ^い。やったい」
僕は、思わず声を出した。この部屋に入って、初めて声を出した。
やっぱりだ。やっぱりだ。小説アは、何も考えていない。考えずに左端ばかり引いていたんだ。何も考えていない。小説家は、バカだ。
小説家は、・・・バカだ。
「ありゃ」
「あら嫌だ。オニを引いたんでしょ」
奥さんの手札は二枚。僕が三枚。小説家が四枚だった。
「さあ。オニを引け」
小説家が、カードを差し出した。真ん中のカードが段違いに差し込んであった。奥さんは、じっと考えて一枚を引いた。
「残念でした。オニではございません。私、一番ね。あと、いーちまい」
奥さんは、二枚カードをテーブルに捨てて、僕に一枚差し出した。その一枚は、幸運にも僕の手持ちのカードと一致した。あと二枚。小説家にカードを差し出した。小説家は、しぶしぶ一枚引いた。やっぱり、左端を引いた。小説家は、二枚カードを捨ててから、カードを体の後ろに回していった。
「上か、下か、真ん中か」
「真ん中!」
と僕が言ったら、小説家は、きゃはははと奇声を発してひっくり返りながら、オニのカードを投げ出した。すると脇にいた奥さんが、言った。
「あっ。ずるいずるい。「ずる」したわよ。この人」
「ちぇっ。ばれたか」
奥さんと小説家は、笑いあった。僕も、つられて笑った。
「はははは。よし、もう一度やろう」
「でも、もうこんな時間よ」
「そうだねえ。もう遅いね」
小説家は、僕の方を見て言った。残念そうだった。
「じゃあ、外は暗いから送ってやろう」
と小説家は立ち上がった。けれど、僕は、何か極まりが悪くって、一人で帰れるよと立ち上がった。
「でも暗いよ」
「そうよ。暗いから危ないわよ」
でもやっぱり、極まりが悪くって、一人で帰ると言い張った。
「じゃあ、これを持って帰りなさい」
と奥さんが、六方焼きを包んでくれた。ありがとうと言って、包みをもって表へ出たけれど、何か、何か忘れているような気がした。
夫婦二人とも、表まで見送ってくれた。
何か悪いことをしたような気もする。さようならと言って、歩き始めた。このまま帰っちゃ悪いような気がした。でも・・・。でもなんだろう。考えながら、アパートの階段の所まで来た。二、三歩階段を下りたけど、やっぱり気になって戻って行った。
「どうしたの?」
奥さんが聞いた。
「やっぱり、送って行こうか」
小説家が言った。僕は、どうしたらいいかわからなかった。
「僕・・・僕・・・」
「どうしたの?」
「僕。ガラス割ったの僕じゃないよ。僕じゃない。それから、僕、さとしっていうんだ」
僕は、早口でしゃべって階段を駆け下りて、走って帰った。

ウチの灯が見えた時、六方焼きをどうしようかと思った。このまま持って帰ったら、どうしたんだと聞かれるぞ。
そう思って、橋の所で欄干に座って、一つまた一つと食べた。口をもぐもぐとさせながら家までゆっくりと帰った。
六方焼きはおいしかった。

****** おしまい ******

2019年6月6日木曜日

カスタマイズ備忘録1

備忘録1
投稿や編集するときのブラウザはChormeでなければならない。


どこかに書いてあったような記憶が・・・・。
そんなことは失念していて、既定のブラウザがFirefoxだったもんで、テーマを編集しようとした。

編集を始めたのはいいが、やがて・・・・








ブラウザが・・・、ブラウザが・・・・・

死にかけて、やがて・・・OSまで(ちなみに現在はwindows10)

フリーズした!


windowsは・・・嫌いだ・・・。

結局、htmlのソースは</body>部分まで表示できないので、<head>部分に記述。



これでも動作するから、まあ、ええか~

その後、
投稿や編集するときのブラウザはChormeでなければならない。
ということに気が付いて、






やり直しました。



追記


ダウンロードして、固定リンクできるところに設置できるサイトは固定したほうがいいんでしょうね。 今回使用した縦書エンジン 縦書きResponsivoo




2019年6月5日水曜日

縦書のリンクが終了していた

随分と放置されていた。 縦書は、「涅槃」を使っていた。 Google が「 Google Code サービス終了」 Google Code サービス終了のお知らせ 2015年4月8日水曜日 のようです。 とりあえず、「とらちゃん」記事を縦書きになるように修正しました。 「涅槃」のバージョンは、バージョン5になってます。 「とらちゃん」記事のときは、バージョン1だったようです。 どうやって直すんや? なかなかうまくいきませんでしたが、やっとこさ直りました。 古いバージョンのnehan.jsを使っている人たちへ ということで、古いバージョンのリンクも作っていただいてたんですが、バージョン1の状態では、うまく動作しませんでした。 ファイルが足りないんだろうなあ。 ということで、いろいろ検索して、結局バージョン5で何とかなりました。 やれやれ・・・。

2010年6月26日土曜日

縦書き涅槃を組み込んでみた。

我輩は猫である。名前は付けてもらった。「とら」である。いかにも適当な名前だ。どすどすと足音を響かせてゆったりと主人が歩いてくるのを、気づかぬふりをして待っている。

 縦書き文庫
縦書き文庫の 「記事を部分的に縦書きに出来るテンプレート」をそのままではうまくいかなかったので、直接「HTML編集」でnehanの部分だけ追加してみたらうまくいった。

2010年4月11日日曜日

Ubuntu9.10で音がでない!

ラジコなるものを知って、いざアクセスすると「聞こえへんやんか!」。
何でやねん!
ボリュームセレクタを見ると、dummy outputになっているやおまへんか。

http://ichiyonnana.blog24.fc2.com/?mode=m&no=16

/etc/pulse/default.pa の

### Automatically load driver modules depending on the hardware available
.ifexists module-udev-detect.so
load-module module-udev-detect
.else
### Alternatively use the static hardware detection module (for systems that
### lack udev support)
load-module module-detect
.endif






load-module module-detect


に変更すればよい。


おお~~。治ったやんけ。

2009年10月31日土曜日

Ubuntuのアップグレード

Ubuntuの9.10が発表されたようです。
アップデートマネージャーで、システムをアップデートしていて、ひょっと気がつくと、「新しいtディストリビューションがあります」とのメッセージがあるではありませんか。

おお、 入れ替えなくてもアップグレードできるんだ!!!
すごいじゃないか!
知らなんだ。知らなんだ。
さっそく、「アップグレード」してみました。


すごぶる時間がかかった。




 

2009年10月27日火曜日

Windowsプログラムのアイコンを抽出する

ほー。こんなこともできるんやね〜。
LinuxでもWinodwsソフトが使えるWine・・。
それはそれでいいんだけど、デスクトップに起動用のアイコンを作るのに、プログラムからアイコンを取り出すのに、別途アイコン抽出ソフトをインストールしていたりしてました。
でもでも、そんなのがいらない!!!
知らんかった・・・・。

Nautilusスクリプト Windowsのexeからiconを抽出してpngに出力する方法
http://linuxos.blog102.fc2.com/blog-entry-125.html
ことができるんやね〜〜〜。

Linuxって奥が深いんですね♪


ロゴをつくるロゴシェーダーをインストールして抽出してみました。
今までWindowsのアイコン抽出ソフトをインストールしてたりしてましたが、それも不要となりました。

それにしても、NautilusってWindowsでいうとエクスプローラになるんだろうけど、エクスプローラよりもずっとすごいソフト何じゃないだろうかという気がします。